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Watabera Miscellaneous Notes

人生やめてません

医学科と試験

  試験の話。

 

  先日、テストが終わった。

  特に気分が晴れ晴れという訳でもない。なぜならいつも通りに出来に不安があるからだ。

  落とせば落とすほど再試がぶち込まれる。

 

  うちの学科の試験(入試ではなく)はよく難しいと言われる。国試やCBTは難しいのだろう、多分。まだ受けてないけれど。

  では他の専門の試験はどうか。

  ……。

  いや、確かに難しい。低学年の頃から膨大な範囲の事項について暗記のみならず理論まで記憶しなくてはいけない(エッセンシャル)。

  ひたすらに骨の名前をラテン語で覚えたり、生化学なんかは難解な生体内回路について暗記。病理の実習試験では何処から何処までが腫瘍なのかプレパラートを見て答えなければならない。

  臨床の試験に関しても、過去問の選択肢「病気Aに対して薬Bは禁忌である」一つ覚えるにあたって病気Aの病態、薬Bの作用機序を理解する必要があるのだ。さらにそれぞれの病気の予後や治療法においても詳しい理解が必要だ。それが一日に何科目も試験がある。

  とにもかくにも暗記事項が多い。

 

  と、まぁこう書くと試験を乗り越えてきた五六年生が神に等しき存在に思えてくるが果たしてそうであろうか?

  勿論、年に数十人も留年する大学もある。僕の大学は最高ランク程には厳しくないから緩いのかもしれない。

  しかし、試験に通った学生のうち「本来求められていたレベルの知識」を持っているのは何割だろうか。正直、殆ど存在しないと思う。

  多くの学生が、「奨励される水準には至らなかったが六割は超えたので合格」と言った状況だろう。その六割という数字も怪しいものがある。

  医学科の試験は「求められる基準は非常に高度だが、別にそこをクリアしなくても合格出来る」型が多いと思う。中々歪んでいる。正直、他の大学のことは知らないから実は全然違うかもしれないが。

 

  当然のことながら、総合で六割を超えてしまえば何がどうなろうが合格である。誰に文句を言われる筋合いはない。しかし、六割を奪取することと本来必要な知識とは大きな隔たりがあるように思える。

  つまり、単位が取れたからと言ってその講義を履修したと胸を張って言える程の学習が出来ていない学生の方が多いのではないか。

  具体的には、過去問を見ておけば出来る問題がテストに出たりする訳である。そこから生まれた点数は本人の知識によるものではないだろう。努力にはよるかもしれないが。だから、知識が足りてなくても合格してしまえる。

  全く困ったものである。あはは。

 

  何の根拠もない推論だが、今のこの歪んだ成績評価の状態は以下のようにして生まれたのではないだろうか。

医学生に求められるのは全ての科目の範囲における高い知識であり、試験でもそれを要求する必要がある」→

「だが実際にその基準をクリアする人は殆どいなかった」→

「留年生が増え過ぎると学校の運営が立ちいかなくなるので、勉強の内容は高度だが進級の要項を緩める」→

「それが現在まで続く」

  話を聞くにどうも先生方が昔学生だった頃はもっと緩かったようだ。寧ろ最近は厳しくなっている。

 

  実際の所、医学科において全ての試験で求められるの基準を超えるのは相当に厳しいと個人的には思う。ていうか無理。

  科目それぞれに万全の準備をし、範囲の教科書を熟読し、レジュメの内容を暗記………夢物語もいいところだ。そんなことをしていたら試験期間どころか学生生活が終わってしまう。

  そう言うならバイトや部活などせずに勉強に打ち込めと思う人もいるだろう。

  だがバイトはともかく、部活に関してはOBOGなど縦の繋がりが将来役に立ったりする(らしい)ので、(無論その為に部に入る訳ではないが)試験に通っているならば別にわざわざやめる必要もないのだ。

  結局、医学生の多くはバイトや部活をしながら迫り来る試験を何とか超えていくスタイルに落ち着くていく。

  ある種仕方ないと言えば仕方ない。単位が来るのに、それ以上勉強する人があまりいないのは想像に易い。

 

  まとめると、

医学科の試験内容は非常に高度で、全ての科目で満足な理解を得るには恐ろしい努力が必要だが、それを完璧にこなさなくても何故か単位が来る為に多くの医学生はバイトや部活に励みつつ、ギリギリのラインを突破していくという学生生活を送ることが多い。

  だから何って特に何の問題提起でもない。冷静に考えるとあんまりに分かってないのに六割取れるって変だよね、というだけだ。

  それに案外、医学科に限ったことではないかもしれない。

 

  今度のテスト全部受かってるといいなぁと思いながら、筆ならぬ右親指を置きたい。

 

 

 

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