文章力アップに必要な"抽象化”と”具体化”、そのトレーニング法
このブログを書き始めてからしばらく(1年3ヶ月)になる。しかし、思ったような文章はまだまだ書けない。そこで自分の文を反省したところ、文を書くにあたり「抽象化」と「具体化」という能力が必要で、自分にはそれが足りていないことがわかった。
今回は、「抽象化」と「具体化」とはなにか、なぜ文章に必要なのか、そしてその視点から文章力のトレーニング方法を(自分用に)書きたい。
抽象化と具体化の話は様々な媒体に通じると思うので、別にブロガーとか物書きでなくてもぜひ色んな人に読んでほしい。というかアドバイスがほしい。
抽象化と具体化
抽象化と主張文
このブログやメンヘラ.jpに投稿する記事では、日々の出来事や過去の経験から共通する教訓や論理を取り出して、
僕はこの過程を「抽象化」と呼んでいる。
抽象化の過程で具体性が削ぎ落とされることにより、教訓や論理がよくみえるようになり、非常に分かりやすくなる。
たとえば、この記事では、『ネタツイートを作るためにアホなことをする』や『飲み会中の写真をアップしよう、と始まる前から考える』や『かわいい動物の写真がバズったから、毎日写真を撮るになった』という具体例から、「我々は
このように、具体例からその奥のロジックやテーマを取り出すのが、抽象化である。
主張文では、抽象化が非常に重要だ。主張文においてもっとも重要なのは、作者の主張(論理)である。しかし、抽象化がうまくいかないと、作者自身が自分がなにを主張したいのか分からないまま、文章を書くことになってしまう。
仮に、入念な抽象化なしに主張文を書こうとすると、
(ただし、
また抽象化は、生きづらさを抱える人にも有用な思考法である。
生きづらさを抱える人、つまり雑に言って人生が上手くいかない人は、多かれ少なかれ失敗の経験があるはずだ。その失敗の経験から教訓を抽象化して、生きるための道具として覚えておく。そうすると、
たとえば、自分は楽しかった会話が、
失敗でなく、成功体験から抽象化を行うのも、つぎの成功に繋げることができる。
話が逸れた。まとめると、抽象化とは具体例から教訓、論理、テーマなどの抽象的なものを取り出す思考である。そして、主張文では抽象化が重要である。
具体化と創作
僕に関して、抽象化は今までやってきたので、そこまで苦手ではない。しかし、抽象化の逆、つまりは「具体化」はてんで不得意である。
具体化というのは、抽象から具体を生み出す、
たとえば、上の文章での、「失敗から抽象化によって教訓を得て、
このように、概念やテーマから、実際の例を出すことを具体化という。
主張文にも、
しかし、本当に具体化が重要なのは、主張文よりも創作である。文章においては、
まず、創作においても主張文と同じく、伝えたいことは抽象化されたテーマである。しかし、
たとえば、「君がいなくてさびしい」という抽象は、『家の犬まで一生愛されてると思ってたよ』『一段低いところに置き換えたシャワーがたまらなくこのうえなく愛
たとえば、「夏が恋しい」というテーマは、「秋はご飯だって美味しいし、
たとえば、魔法学校が舞台の物語を描こうとする。となると、魔法学校の名前、立地、
創作では、
このように、具体化とは、抽象的な概念やテーマから細部を生み出すことである。具体化は、創作においては必要不可欠である。
抽象化具体化と文章力
抽象化と具体化の出来不出来は、文章力に大きくかかわってくる。
文章とは、「主張文」「創作」「それ以外」に大きく三分される。そのなかで、主張文には抽象化が必要不可欠であり、創作には具体化が必要不可欠である(その他エッセイなどは半々だろうか)。
つまり、抽象化と具体化のトレーニングによって、文章力はアップできるのではないだろうか。
抽象化能力の向上によっては、論理が通った文章、文章全体のよい構成、分かりやすい文章、他の人にはない視点の文章などが期待できる。
具体化能力の向上によっては、描写力の向上、豊富な発想力、豊かな語彙力と教養、言葉選びのセンス、読ませる文章などが期待できる。
抽象化具体化トレーニング
文章において肝要な抽象化と具体化、どうしたらこれらの能力を鍛えられるだろうか。僕自身の経験をもとに考えてみたい。
抽象化トレーニング法
抽象化能力をあげるには、ひたすら抽象化を行えばよい。なぜなら、抽象化で自分に必要なものは思考力だけで、思考力を反復訓練のなかで鍛えればよいからだ。具体的な方法を以下に挙げる。
・小説、映画、漫画のあらすじを書く
→あらすじを書くことは、場面ごとの要約をすることである。この要約こそが抽象化である。あらすじを書いたら、作品のテーマや伝えたいことを、自分なりに分析するのもよい。これはさらにハイレベルな抽象化である。また、あらすじが面倒なら、感想を書くだけでも、自分の頭のなかのゴチャゴチャを抽象化する練習になる。
・自分の考えについて文章でまとめてみる
→自分の考えというのは、頭のなかではまとまっているつもりでも、いざ文章化してみると、自分でもなにが言いたいのかわからない、ということがザラにある。そこで、自分の主張とそれを立証する論理とを明確にすることが、抽象化の練習になる。
・論理的な文章を書くための本を読んで実践する
→『20歳の自分に受けさせたい文章講義』と『数学文章作法』、この2冊には論理的な文章を書くための方法が載っている。実際にその方法に則って文章を書くことで、論理的思考力をつける。
抽象化自体は頭のなかで行えるが、その精度は文章にした方が格段に高いのでなるべく書きながら抽象化を行ったほうがよい。
具体化トレーニング法
・インプット(作品から)
→具体を自分から放出するには、まず具体を自分のなかにいれる必要がある。小説、詩集、エッセイ、映画、音楽をなるべく沢山体験する。しかし、インプットの仕方が雑ではいけない。つまり、流し読みや流し観、流し聴きでは、具体化のトレーニングにならない。各々の作品の「具体」を自分に吸収する必要がある。小説なら、情景描写、言葉遣い、台詞回し、
・アウトプット
→いくらインプットしても、出せなければ意味がない。
・書き写し
→小説などの好きなフレーズを書き写すのもよい。インプットとアウトプットの両方の練習になり、手間に見合うだけの価値がある。
・日々の過ごし方
→小説や映画などのフィクションでは、多くの具体を体験することができる。しかし、もっとも身近で印象に残る具体といえば、自分の日常である。日常生活のなかで、自分の思考にこもるのではなく、周りの人や風景に目をやることで、なにより新鮮な具体を手に入れることができる。また、自ら様々な体験に積極的になることも、人生経験だけでなく、具体化の能力向上に繋がる。
具体化のトレーニングは、インプットとアウトプットを繰り返すことが肝要である。
まとめ
抽象化とは、具体例から本質や論理を取り出すことであり、
具体化とは、抽象的な概念からテーマから実例や細部を生み出すことである。
抽象化は主張文に重要で、具体化は創作に重要であり、2つの能力は文章力に寄与している。
抽象化のトレーニング法は、ひたすら実際に抽象化を行うことで、
具体化のトレーニング法は、インプットとアウトプットを繰り返すこと、日常生活で観察眼をもつことである。
センスある文とか小説とかを書きたいので、具体化のトレーニングをしたいと思います……。
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