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Watabera Miscellaneous Notes

人生やめてません

お月見旅行記

 

  こんにちは、ワタベラマナです。昨日書きました

 

 十五夜がどうの、中秋の名月がどうの、という情報をネットで手に入れた。今日は、月が綺麗らしい。そこで、僕は、月見をすべく、コンビニにビールを買いにいくことにした。

 

 コンビニについた。しかし、家を出てすぐのコンビニには、アサヒとかサッポロとか定番のビールしかなかった。なので、僕は、遠くのコンビニまで、オシャレビールを探して歩くことにした。水曜日のエール?とかそういう名前の、常時発売ではないやつが飲みたかった。普段と違う気分に浸りたかったのだ。

 

 秋の夜は、さすがに部屋着では寒かった。半ズボンの隙間から風が侵入してくる。ベガス(バンド)のパーカーを着てこなければ、確実に戦略的撤退におちいっていた。空気自体がすべて冷え切っているのだ。この温度だと、どうせすぐ冬になるのだろう。

  

 歩いていると、二階の部屋から盛大に音漏れさせている家があった。低音が回りやすいのか、道路でまでブンブンいっている。なんの曲だろうと、しばらくその家の前で立ち止まっていた。

 

 結局なんの曲か分からないままにその家の前を去った。なぜなら、その家の住人の高校生が自転車に乗って帰ってきたからだ。自転車が角を曲がってきて、もしやと思ったら、案の定、彼がその家の横に自転車を止めた。彼は、明らかに不審な人を見る目で、僕を見つめた。とりあえず、僕は下手なステップを少しかましてごまかしてみた。どうやら効き目がなかったので、そそくさと早足で去った。そしてそのまま、二軒目のコンビニに逃げ込んだ。

 

 めでたいことに、二軒目のコンビニでお目当てのお洒落ビールはあった。2種類のお洒落ビールを取り出して満足した僕は、つまみも買わずにレジに向かった。金がないのだ。

 

 ビニール袋を左手で握ったまま、コンビニから出た。そして、そのまま1つ目のビールの封を開けた。帰り道すがら飲んでやろうとしたのである。中島らもとかのアル中系アーティスト、そういうのになりきってみたかったからだ。それでも、他の人に飲み歩き(まさに言葉通り)を見られるのは、恥ずかしかった。イキってると思われたくなかった。なので、コンビニの明かりが届かなくなってから、ビール瓶(最近のお洒落ビールは小さい瓶に入っているのだ)に口をつけた。

 

 苦い!!口に液を入れた瞬間、舌から鼻腔までぜんぶが苦くなる。僕は思わず、渋い顔になった。いや、こいつを嫌いになるのは、まだ早い。もう一口飲んでみよう。うぇっ、やっぱり苦い。これがお洒落ビールなのか?お洒落は、まだ僕には早かったのか?いや、お洒落ビールのお洒落とは、世間では苦みを指すのかもしれない。……言い訳しようと、どう考えても苦いもんは苦い。

 

 そこまで考えて気づいた。これでは台無しではないか!!ほんとは、アル中アーティストよろしく、一杯ひっかけながらご機嫌で、自宅まで戻る予定だったのだ。それが、今の僕はどうだ。似合わないビールを掴んだオタクが、渋い顔してとぼとぼ歩いてるだけではないか。もはやイキれてすらない。これは違う!断じて僕の計画と違う!僕が思い描いていたのは、もっとかっこいい……あぁ……。

 

 自分だか、このまずいビールだか分からないが、腹が立った。腹が立ったので、その場で残りをイッキした。くそう、やっぱり苦い。不味いぞコレは!!そして、家まで走って帰った。これ以上、今の自分の状態を維持したくなかった。はやく自分の部屋に戻りたかった。飲んで走ったら、当たり前のように気持ち悪くなった。くそ、いつも俺はコレだ。理想から、斜めに転げ落ちていく。いつも……。

 

 そうして、家に戻って、憂さ晴らしに、と今これを書いているわけである。月を見るためにビールを買ったが、今僕の部屋のカーテンは閉まっている。月は見えない。見ない。なにもかも本末転倒だ。なにをしに、僕は家を出たのか。

 

 ところで、前読んだ文章のハウツー本に、『飲んだら書くな 書くなら飲むな』、とどこかの標語をオマージュした言葉が載せてあった。要は、酔った状態で文章を書くのはやめろ、ということだ。理由は忘れたが、とにかくろくなことにならないらしい。今まさに僕はその標語を無視している。飲酒執筆である。

 

 いや、しかし、飲んで書くのは本当によくないのだろうか。先の故中島らもは、酔っ払って寝て起きたら、原稿が出来上がってたなんてことが、たまにあったらしい。中島らもだけじゃなくて、外国の作家でも同じような話はある。クスリをキメて記憶がないあいだに、一作書きあげたことがあるとかないとか……。やっぱり飲んでも書ける人には書けるのだろう、書ける人には。

 

 僕個人としても、飲酒執筆は悪い点ばかりではないと思う。普段は社会的理性に押さえつけられていた、自分も知らない本音がぽろんと出てきたりするからだ。

 

 よいとかわるいとかの前に、キーボード操作がおぼつかなくなってきた。2本目のせいか。この辺でやめにする。

 

 ちなみに、2本目のお洒落ビールは美味かった。お洒落ビールも捨てたものじゃない。

 

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