セックスしても童貞は治らない。変遷する「童貞」の意味。
今日(昨日)、Twitterのタイムラインに流れてきたこのツイート、
セックスをしたくらいで童貞が治ると思っているなら、それは大きな間違いだ
— ちゅきちゅきはぐはぐ (@Qjawa_san) 2017年10月14日
センスあるツイートである。一見矛盾した文章のように見えるが、本当は矛盾していない。そして、ある種の真理を突いている(と僕は思う)。
「一度セックスをすれば、童貞時代に身体に染み付いた拗らせた言動や雰囲気が消えてまったく新たな自分になれる、と思ったら大間違いだ」
僕はこのような意味だと考えている。
このツイートとネットでの「童貞」の意味について、勝手に考察していきたいと思う。
「童貞」の意味の変遷
童貞、本来の意味
考察していくにあたって、重要なのは、ツイート内の「童貞」という言葉の意味である。
goo国語辞書によると、一般的な童貞というワードの意味は、
であるらしい。現代日本、とくにネットでは、2の意味での使用は皆無なので除外していいだろう。つまり、1の意味が本来の童貞の意味である。
しかし、この1の意味を先のツイート内の童貞に当てはめると、矛盾してしまう。
なぜなら、異性と性交渉をしたことがない男性を童貞というならば、性交渉をすればもう童貞ではないからだ。『セックスをしたくらいで童貞が治る』は、『大きな間違い』ではなく、「正解」ということになる。
このままでは、先のツイートが支離滅裂なモノになってしまう。が、果たしてそうであろうか。
それを解決するためのヒントは、yahoo知恵袋にあった。
新しい意味を内蔵した童貞
童貞←なんて読みますか?またどういう意味ですか? - 童貞(どうてい)意味は... - Yahoo!知恵袋
この質問に対してのベストアンサーが、以下の文章である。
童貞(どうてい)
意味は「女性とセックスをしたことのない男性」のこと。
基本的にはバカにする意味で使われることが多い。
ポイントは、『基本的にはバカにする意味で使われることが多い』という点である。現代日本、そしてネットでは、童貞は大体マイナスイメージを伴って使われているのである。この点こそが、先のツイートを読み解くカギである。
童貞は、マイナスイメージを伴って使われる。そして、ネットでは、童貞というワード自体がマイナスイメージを取り込み始めた。
そのマイナスイメージは、具体的に言えば以下の通りである。
「女性に対して挙動不審」、「女性との距離感が分からない」、「面白くない」、「気持ち悪い」
これは、いわゆる元々「童貞っぽい」というワードが持っていた意味である。しかし、ネットではだんだん、「童貞」というワード自体が「童貞っぽい」の意で使われるようになった。その結果、「童貞」が負の意味を内蔵するようになったのである。
童貞っぽいというワードは、現代日本で童貞である男性の多くに上記の要素があるために、負の意味をもっていた。そして、負の意味をもつ「童貞っぽい」が次第に、「童貞」と混用され始めた。結果的に、「童貞」が「(青年~中年)童貞の多くがもつ負の要素をもっている奴」という意味で使われるようになったのだ。
①童貞の本来の意味 → 異性との性交渉の経験のない男性、またはそのこと
②童貞っぽいの意味 → 多くの童貞のように、挙動不審などの負の要素がある
(ネット内にて、童貞と童貞っぽいが混用される)
③ネットで追加された童貞の意味 → 挙動不審などの異性関係の負の要素がある
この童貞の意味の変遷が、先のツイートを読むポイントである。
セックスしても童貞は治らない
セックスをしたくらいで童貞が治ると思っているなら、それは大きな間違いだ
— ちゅきちゅきはぐはぐ (@Qjawa_san) 2017年10月14日
この文章は、日本のネット文化を生み出し、同時にそれによって構成されているTwitterというSNS上に載せられた文章である。よって、ここでの童貞の意味は、①ではなく、③なのである。
③の意味を当てはめると、このツイートの意味は以下のようになる。
「セックスをしたくらいで童貞っぽさが消えると思っているなら、それは大きな間違いだ」
この方が意味は分かりやすい(面白くはない)。さらに具体的に言えばこうなる。
「一度セックスをしたくらいで異性に対する挙動不審癖や自分の気持ち悪さが治ると思っているなら、それは大きな間違いだ」
ここまで言い換えると、当たり前のことを言っているのが分かる。穴に棒をいれたとしても、突然自分の精神構造を変化させるような体験にはなり得ないのだ(だから素人童貞というワードが生まれたとも考えられる)。
『セックスをしたくらいで童貞が治ると思っているなら、それは大きな間違いだ』
↓
「一度セックスをすれば、童貞時代に身体に染み付いた拗らせた言動や雰囲気が消えてまったく新たな自分になれる、と思ったら大間違いだ」
挿入の有無に童貞の本質はない
このツイートはやはりひとつの真理をついている。
Twitter上では、童貞ネタをよく見かける。(自称)童貞が自虐ネタとして使っているときもあれば、非童貞オタクがマウンティングとして童貞うんぬん言っている場合もある。しかし、本当に異性に関して苦手意識がなさそう(悪くいえば女性に困ってなさそう)な人が、童貞ネタを使うのはほとんど見ない。非童貞オタクが童貞うんぬんのマウンティングしていることこそ、セックスをしたところで童貞の拗らせた言動が治らないことの証明ではないだろうか。
現実でも、性行為の経験はあっても童貞っぽさの抜けない人が周りにいたりしないだろうか。きっと思い当たる人や節があるのではないか。
一度の性体験で、童貞らしい気持ち悪さが消えるような劇的な変化があるわけではない。当たり前のことだ。しかし、多くの童貞やオタク非童貞はこれを実感として理解していない。
挿入未経験は、結果であって、原因ではない。
自分の童貞や拗らせた言動の原因を挿入の有無に押しつけること自体が間違っていて、そして拗らせの証明でもある。
先のツイートは、
「お前がダメな原因は、挿入の有無という表面的なところには存在しない。むしろ、表面的な事実が原因だと思い込み、自分の本質的な欠損に目を向けないことにこそ、お前がダメな原因がある」
という意味をもった、深い深いツイートなのではないだろうか。
以上、ワタベラマナでした。偉そうなこと書いてすみません。ありがとうございました。
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