悪い夢
『「もう嫌だ!!助けてくれ!!」』
『なに、おはよう。どうしたの』
『……あれ、おはよう。今、俺なにか言ってたか?』
『叫んでたわ。もう嫌だ助けてくれって。寝言にしては圧が凄かった』
『最近嫌な夢ばかりみるんだ。多分それのせいだ』
『どんな夢?』
『朝から朝まで奴隷のように働いてる。睡眠時間も3時間くらい。かと言って報酬も大してもらえない』
『悪い冗談みたいね』
『まさに』
『それにしても、まだ5時前よ。仕事の準備にしても早いわ。寝直したら?』
『そうするよ』
『それとも夢の通りに今から急いで出勤するかしら?』
『……勘弁してくれよ』
『冗談よ、先に起きて朝ご飯用意しておくわ。おやすみ』
『あぁ、助かるよ。おやすみ』
〜〜〜〜〜
「くそっ、今何時だ」
「6時30分かよ。これじゃギリギリだな」
「全力で走れば50分くらいにロッカーに着くか。名目の出勤時間には間に合うし、嫌味言われるくらいで終わるだろ……」
「畜生、なにが『悪い夢』だ。俺はその悪い夢を毎日生きてるんだよ。嫁さんとゆっくり寝て幸せそうにしやがって」
「朝から気分が悪い……本当に悪い夢を見てしまった」