slowly

Watabera Miscellaneous Notes

人生やめてません

【ネタバレなし】君の膵臓をたべたい 感想【住野よる】

 

 そう、かなり今さらだけど、『君の膵臓をたべたい』を読んだ。

 

 

 この小説、面白いとは聞いていた。しかし、流行りものへの拒否反応で読んでなかったのだ(最高にダサい)。

 

 けれど、友人と映画化されたこの作品を観にいくことになった。なんやかんや気になっていたので、楽しみにしていた。が、僕が当日寝落ちして遅刻したせいで見逃してしまった(反省している)。それ以来、この作品に触れていなかった。

 

 しかしこの前、Twitterでフォロワーさんがよい作品だったと書かれていたので、とうとう意を決して挑戦することにした。試しにブックオフに言ったら文庫本を発見したので、さっそく手に入れて読了(かっこいい)した次第である。

 

 よかった。泣きはしなかった。けれど、たしかによい作品だった。単にお涙頂戴で終わらない。そして、大筋のストーリー以外にも推せるポイントがある。せっかくなので、感想を書いてみようと思う。ネタバレはない。なので、気になってるけど手を出すまでいかない人は、ぜひこの記事を読んでほしい。そして、小説も買ってくれると嬉しい。このブログのリンクから買ってくれると、なお嬉しい(アフィで金が入るので)。

 

 

あらすじ

 本ばかり読んで友達がいない主人公は、あるとき病院で『共病文庫』と書かれた本を見つける。それは文庫本ではなく、誰かの日記だった。しかも、その持ち主は膵臓の病気で、死が間近らしい。それを理解して、本を閉じようとしたところ、持ち主に声をかけられてしまう。なんとその人は、主人公のクラスの溌剌とした人気者の女子生徒だった。その件を皮切りに、その女子生徒は主人公に近づいてくるようになる。彼女の奇天烈な言動に戸惑いながらも、主人公は彼女と時間を過ごすようになるが……

 

よかった点

恋愛で終わらないストーリー

 あるきっかけから、最初は反発していた男女が距離を縮めていき、すったもんだのすえに互いの大事さに気づく。そんな大枠でいえば、この小説はラブストーリーで恋愛小説だろう(花男とは男女が逆だ)。しかし、この作品はそれだけでは終わらない。

 

 もちろん、恋愛要素でグッとくる部分もある。だが、この小説でもっとも重いのは、その関わりを通して、2人が人間として成長するストーリーである。もともと独自の人生観を完成させていた2人が、偶然(ではなく必然)の出来事から始まった『真実と日常』によって、噛み合ったりズレたりしながら、それを糧に成長する。そして、まったく新しい人生観を手に入れ前を向いていく。現実の高校生の価値観を両極端に表現した2人が触れ合った末に、希望ある結論を出していく。それを見られただけで、読む価値がある作品だった。

 

 この作品は、「接近と離別」による感情変化だけを描いた作品ではなく、少年と少女の考え方や人生観をしっかり描写している。詳しくは書かないが、安っぽいストーリーになってないことは保証できる。

 

ミステリ要素

 『君の膵臓をたべたい』というタイトルからして謎めいているが、この作品にはミステリ要素がある。というより、ミステリ要素(つまりは謎)をわざと前面に押し出すことで、先が気になるように作られている(共病文庫の内容や【仲良し】くん)。

 

 彼女の言動や小説の表現方法によって、読者に謎が提示される。読者はその謎がどう解かれるのか気になって読み進めてしまう。そんな仕掛けが、この小説には隠されている。僕は完全にそれに乗せられていた。悔しい。

 

 もちろん、伏線もミスリードもあるし、『君の膵臓をたべたい』というタイトルもキチンと回収される。ミステリとしても楽しめる作品なのだ。

 

独特な掛け合い

 もう一つこの作品の特徴といえば、全編にある主人公と彼女の会話群だろう。それらは、終始皮肉たっぷりに繰り広げられる。両者ともになかなかユーモアの効いた返しをするのである。主人公は読書経験から、彼女は人間経験からということなのか、互いに一工夫を凝らしてからかいあう。村上春樹のように教養のにおいがキツいわけでもなければ、世俗的すぎるわけでもない。これらの言葉によるプロレス(暴力的という意味でなく)が、独特の表現で面白い。ちょっとラノベくさい感じもするので、苦手な人は苦手かもしれない。僕も最初は少しウッとなったが、そのうちに気にならなくなった。

 

 ストーリーだけでなく、主人公と彼女の人生観を反映した、それぞれの言葉による掛け合いはこの作品の持ち味のひとつである。

 

まとめ

 『君の膵臓をたべたい』は、

恋愛だけに終始せず、少年と少女の成長が描かれる

ミステリ要素で読書意欲をそそる

独特の会話群に味がある

 という素敵な作品だった。

 

 流行りもんだからと食わず嫌いしている人も、読んで損はしない小説だ。ぜひ挑戦してほしい。そう、下のリンクからね。

 

 

↓↓クリックだけで、より多くの人に読んでもらえます。よろしくお願いします!↓↓

 

watabera.hatenablog.com